人と獣の境界線 有翼人の服屋さん始めました


有翼人の羽には問題があった。

保温性が高いので汗疹と、それを掻きむしることで広がる皮膚炎は慢性的だった。

くわえて羽の重量はすさまじく、歩くこともままならない。 

羽があるので普通の服を着ることすらできず、布を巻くのがせいいっぱい。みっともなく肌が露出するため大っぴらに外を歩くのも恥ずかしい。

有翼人に生まれた朱莉(あかり)もその状態で、二十二年間ろくに動けず布に包まり生きてきた。 

しかしある時、純白の羽を持ち軽快に駆け回る少年・立珂(りっか)に出逢う。

立珂は息を呑むほどお洒落な服を着ていた。 羽を出すことができ、なのに肌を全く露出していない。

常識を覆すような服は立珂が編み出し販売している有翼人専用服。

立珂は忌むべき羽を有翼人だけのお洒落だと誇らしげに笑った。

立珂の作るお洒落な服と無垢な心に魅了された朱莉は、自分も有翼人を救う服を作ろうと歩き出す。


小説家になろう  エブリスタ

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